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研究室紹介 

 機械システム工学専攻 機械現象解析学講座 固体力学領域(渋谷研究室)


 1,概要
  •  固体材料のスケールに依存した力学現象について,外部負荷作用場での電子状態を求める第一原理計算から,転位の集団現象に着目したメゾスコーピックシミュレーション,そしてその自己組織化がマクロな変形様式へと連結するマルチスケールアナリシスに着目した固体力学研究を主として行っている.また,生体内で材料力学的観点が重要な歯科の咬合現象について,咬合力・咬合モーメントに着目した実験的・数値解析的研究も行っている.
 2,"comec"について
  •  当研究室のサーバマシン名は,"comec"と称する.これは,以下の キーワードの共通語として考案した造語である.

    ・ continuum mechanics (連続体力学)

    ・ cooperative mechanics (協同現象力学)

    ・ collectivemechanics (集団現象力学)

    ・ collaborative mechanical engineering (共同研究体制)

     "co"という接頭語には,「共同」,「共通」,「相互」という意味が あり,原子・電子からマクロな連続体までを視野に入れた研究指針, 学内・国内外を問わず共同研究が柔軟に行える研究室体制を構築したい という願望から名付けた.また,個々の材料内部構造変化が,連続な 系全体の材料変形応答に双方向に関連する集団化現象について特に着目 し,今後その力学モデルの構築を理論的・実験的に行いたいと考えている.
     
  •  固体材料のスケールに依存した力学現象について,外部負荷作用場での電子状態を求める第一原理計算から,転位の集団現象に着目したメゾスコーピックシミュレーション,そしてその自己組織化がマクロな変形様式へと連結するマルチスケールアナリシスに着目した固体力学研究を主として行っている.また,生体内で材料力学的観点が重要な歯科の咬合現象について,咬合力・咬合モーメントに着目した実験的・数値解析的研究も行っている.


 3,主要研究テーマ
  • (a)「魚群のような転位網の集団化を探る」  

     材料に外部負荷,例えば鋼の丸棒に単軸引張りが作用した時,マクロ にはくびれに代表される局所変形を示す.そのようなひずみの集中部には,転位網の自己組織化がよく見られる.金属学的な基本メカニズム で運動する個々の転位が力学的に相互作用する結果,転位群となり集団現象をし始める.そのような一連のスケールに依存した力学現象を,マルチスケールな力学的モデリングにより解明しようと研究している. 具体的には,・ 単結晶シリコンやアルミニウムのナノインデンテーション下に生じる  転位網観察(図1)・ 結晶塑性論に基づく有限要素解析と転位密度の自己組織化を導く  セルラーオートマトン法を連結したCA-FEMによる局所変形の解析 ・ 3次元離散転位法によるシリコンらせん転位網の生成と相互作用の解析 大規模分子動力学計算による圧痕下の転位生成と成長の解析 といった実験的アプローチと数値シミュレーションを現在行っている.



     図1:単結晶シリコンやアルミニウムのナノインデンテーション下に生じる転位網観察



    (b)「周りの目を気にした原子の動きをとらえる」  

     不均質変形が本質的な固体力学では,前述した局所変形やき裂先端場 の挙動,あるいは不均質構造体の変形といったものに興味が持たれる. ところが,原子構造までさかのぼった解析を行う際には,その構造を 作り出している場(ポテンシャル場)の評価が最も重要になる.規則正しく 並んだ格子構造の場合には,マクロな特性を表現しうる場が適当かもしれ ないが,き裂や不均質体界面といった規則性が崩壊している場では,その 周囲の環境に依存した相互作用場の評価が必要不可欠になる. そこで,当研究室では,Tight-binding(TB)法を用いた環境依存型第一原理 分子動力学法(TB-MD)による不均質・高ひずみ場の強度評価に関する研究を 行っている.具体的なテーマとして, ・ DLC(Diamond-like Carbon)の薄膜強度評価の解析 ・ シリコンき裂先端場の解析 ・ 大規模計算のための0(N)のTB-MD法の開発.



    (c)「壊さずに内部の欠陥を観る」

     非破壊的に物を観察することは,従来より切望されている重要な検査技術 の一つで,すでに種々の手法が提案され実用化されている.当研究室では, 立ち上げ時から研究室の目玉になる実験装置として「電子線誘起超音波顕微 システム(SEAM)」の開発を行っている.これは,電子顕微鏡(SEM)の電子線を 高周波で断続化し,試料の照射面での膨張・収縮から発生する熱波を利用した メゾスケール非破壊内部観察手法である.これにより,表面より数ミクロン 程度の内部に存在する転位網などの欠陥場を直接観察することが可能になる と予想している.まだ,未完成であるが,全体の概観(SEMそのものであるが), トランジスタチップを試料とするホルダーを図2に示す.





    図2:トランジスタチップを試料とするホルダー



    (d)「腰痛は噛み合わせから」

     上記の3つとは,大きく異なる題目であるが,力学挙動という観点では何ら違いない.インプラント(人工歯根)植立の力学解析を行ったことに端を発して, 現在日本骨膜下インプラント研究会と共同で歯科咬合力学の確立をめざした 研究を行っている.最近,噛み合わせの重要性が歯科の分野で言われはじめて いるが,それを定量的に評価する手法は現在のところない.そのことが,歯科 の分野で力学(特に,材料力学)の重要性が十分認知されるに至らない理由と 考えている.そこで,当研究室では,オクルーザという咬合力分布を計測する 装置(図3)を基本にして,各歯に作用する力とモーメントの評価を行い,それを 外部負荷とする脊柱の力学モデルを構築し,歯の噛み合わせの不釣り合い力に より生じる腰部などの負担の定量化を行っている.




    図3:オクルーザの使用風景
     
     
  • (a)のナノインデンテーションに関する実験は,神戸大学工学部機械工学科 固体力学研究室(冨田佳宏教授)との共同研究
  • (b)のTB-MDを用いたき裂先端場の解析は,独国Max-Planck研究所(Dr.Peter Gumbsch)との共同研究
  • (d)は,日本骨膜下インプラント研究会との月1回(第3土曜日16:00〜18:00, 芦屋市民ホール)の研究会の実施と,民間中小企業(アコオ機工)を含めた 技術開発を目的とした共同研究


 4,Key Words

  • (Cellular Automata (CA)+Crystal Plasticity) Combined Scheme,
    3-Dimensional CA Discrete Dislocation Method (3D CA-DD), Dislocation
    Collective Behavior, Molecular Dynamics (MD)
     
  • Cluster Structure, 0(N) Tight-binding MD (TB-MD), Diamond-Like-Carbon (DLC), Carbon Nanotube, Ab-initia Calculation
     
  • Scanning Electron Beam-indeed Acoustic Microscopy (SEAM), Dislocation
    Network, Non-destructive Observation, Nano-indentation, Silicon, Phase
    transition and Dislocation Network
     
  • Occlusion Mechanics, Dental Implant Design, FEM Simulation

 5,阪大フロンティア機構 >リンクはこちら
  •  阪大フロンティア研究機構の複合機能化ナノマテリアルプロジェクトにおける「ナノマテリアル構造健全性評価のための第一原理計算法の開発」に参加している.


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 www-admin@comec.mech.eng.osaka-u.ac.jp


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